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■Moro No Brasil

「モロ・ノ・ブラジル」は、フィンランド人の映画監督ミカ・カウリスマキがブラジル音楽のを収録したレコード「Folklore e Bossa Nova do Brasil」に出会った事からブラジル音楽に興味を持ち、実際にブラジルを旅して撮影したロードムービーだ。

ブラジル音楽のルーツであるインディオの音楽から始まり、アフリカ色の強いフレヴォ、マラカトゥ、コーコ、アフォシェー、カンドンブレーなどを経て、それらの音楽の集約でありブラジルを代表するサンバへと繋がっていくこの映画は、ある意味でブラジル音楽の一つの流れを示し、同時に多様性も記しているように思われる。そして、それほどメジャーではないアーティストやグループが演奏する音楽や、それぞれのアーティストが持つ背景などにブラジル人と音楽の密接な関係が見え隠れする。

もっとも興味深いことは、ペルナンブーコとリオのモーホ(ファベーラ)において、音楽(ダンス)が同じ役割を担っていたことではないだろうか?マジェー・モレーとファンキン・ラタ、全く異なったグループであるが、その活動を通して若者が麻薬や売春といった物に手を出さないように生き方を示している。また、路上生活者だったセウ・ジョルジを救ったのも音楽だった。サンバという音楽やエスコーラ・ジ・サンバもまたそういった役割を持つ音楽の一つだろう。

サンバに集約された音楽が、最後にファンキン・ラタに拡散する。ブラジルを代表する音楽からさらに派生するブラジル音楽の現在。ブラジル音楽の焦点をサンバにおいて捉えてはいる様に思うが、伝統的な音楽は決して輝きを失ってはいない。昔からの音楽が自分の文化である事を理解している人々がいる一方で、今風の新しい音楽をしようとする若者もいる。その、2つのベクトルがブラジル音楽の現状だと言えるだろう。

この映画の魅力は、ブラジル音楽を幅広く捉えルーツの面から捉えている所にあるだろう。そのようなルーツとなるような音楽はなかなか映像としては入って来にくいものであるし、音源にしても入って来にくい。そういうものが見られると言う事だけでも、十分価値のある映画であるだろうし、仮にその音楽を知っていても驚く部分はあるはずだ。音楽の多様性はそのリズムや文化の多様性に繋がっており、その合間にブラジルの現状が伝わってくる。

最後にミカ・カウリスマキがこれらのブラジル音楽を知った後に感じた思いは、この映画を見たそれぞれの観客が思うことではないだろうかと思った。この映画を何度でも見たいと思うし、見る価値が十分にあるだろう。何より、この映画がブラジル音楽=ボサノバ・サンバ、という風に捉えられがちな部分を変える良いきっかけになって欲しいと思う。

モロ・ノ・ブラジル(DVD)
モロ・ノ・ブラジル(オリジナル・サウンドトラック)



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